おやっと思ったら要注意知っておくべき認知症の症状まとめガイド

記憶障害

認知症の代表的な中核症状のひとつである記憶障害について、症状の特徴や予防法、改善法についてまとめて解説しましょう。

認知症を原因とする記憶障害とは

脳の機能低下によって引き起こされる記憶障害は、認知症の症状の中でもほぼすべての方にあらわれるものです。脳の海馬と言われる部分が衰えることで、記憶ができなくなったり、記憶していたことが失われてしまいます。

認知症の初期の段階では、新しいことが記憶できなくなりますが、進行するにつれて直近の出来事を忘れるようになり、徐々に古い記憶がなくなっていく…という経過をたどることが多いようです。

記憶障害には、以下の5種類があるとされています。

短期記憶障害

よく言われる“物忘れ”に近いもので、特に最近の出来事を忘れてしまうタイプの記憶障害です。具体的には、「どこに物を置いたのか忘れる」、「何をしに来たのか目的を忘れる」、「今日が何日・何曜日かを忘れる」といった例が挙げられます。

脳の機能低下によって、新しい出来事を記憶できないことから起こる障害です。

長期記憶障害

普段は意識していませんが、頭の中に眠っているはずの古い事柄を忘れてしまうものです。自分が通っていた学校や、自分が勤めていた会社、自分の誕生日や家族の名前など、普通であればずっと保ち続けることができる記憶が失われてしまいます。

「2月11日は何の日ですか?」、「お子さんは何人いますか?」といった質問に答えられなくなったり、自分が結婚していることを忘れて、旧姓で呼ばれるまで気が付かない、といった症例もあります。

手続き記憶障害

自転車に乗ったり、そろばんを使ったり、道具の使い方など、体で覚えた記憶を忘れてしまうものです。

意味記憶障害

言葉の内容や意味を忘れてしまうもので、具体的な名称が浮かばなくなったり、言葉が出てこなくなります。「それ」や「あれ」などのこそあど言葉が多くなるのが特徴です。

エピソード記憶障害

以前に体験したエピソードの記憶がなくなってしまうものです。体験そのものがそっくりそのまま抜け落ちた状態になり、ご家族や周囲の方と話が合わなくなってしまいます。

こんな症状が出たら記憶障害に注意

初期に表れやすい症状として、探し物や繰り返しが多くなることがあります。脳の機能低下によって新しい体験が記憶できなくなるので、同じことを何度も繰り返して聞いたり、常に何かを探している、といった状態が多くなってしまいます。

水道を出していることを忘れてしまって水を流しっぱなしにしてしまったり、ガスレンジの火をつけっぱなしにしてお鍋を焦がしてしまう…といったことが増えたら要注意です。

新しい出来事が覚えられない

ついさっき覚えたことを忘れてしまう。こんな症状があると記憶障害の疑いが高くなります。数分前や数秒前にいった場所の名前や、お店の名前、食べのもの名前など固有名詞などは、覚えたことをすぐ忘れる傾向があり、時間が短かろうが、関係なくすぐ無かったものとして扱われることが多いです。

人の名前が出てこない

固有名詞は出てこないというのも特徴で、あまり親しくない人やついさっき会った初対面の人などはほぼほぼ覚えるのは難しく、それまでか親戚や親友、ひどい場合は子供の名前や親の名前まで忘れてしまうことがよくあります。実の子の名前が覚えられないなんでひどいとショックを受けるかもしれませんが、これはそういう病気だと思って割り切らないといけませんし、付き合っていかなければなりません。

食事をしたことを忘れる

身体的な記憶も忘れてしまうことがあります。昨日食べたご飯の内容を忘れるというのはほぼ回避できない症状で、それまでかついさっき食べたことも忘れてしまうことがあります。数時間ならまだしも、食べて数分で忘れてしまうということもあり、満腹になるといった感覚と、食べたという記憶は別のものとして捉えてしまうため、こう言ったことが起きてしまいます。

仕事を辞めたことを忘れる

ご飯を食べた、外に出かけたというちょっとした記憶は当然のごとく忘れてしまうのはまだしも、心に残るような絶対覚えているような記憶まで忘れてしまうこともあります。例えば、仕事を退職したという記憶すらなくなってしまい、いきなりある朝、スーツに着替えて出勤しようとすることさえもあります。辞めたという記憶を忘れて、仕事をするという感覚は残ってしまっているため、こうした行動が起こってしまいます。

記憶障害を改善するためには

認知症による記憶障害は、どうしても進行してしまう障害であり改善することは困難であると考えられています。しかし、進行を抑制する効果があると言われる薬も徐々に使われ始めていますので、まずは医師に相談することです。

また、周囲の対応によって進行が早まることも考えられるので、ご家族や介護者が注意して接する必要があります。

本読みをする

脳を活性化することは記憶障害を改善するのに効果があります。特に五感を駆使して脳を使うことで徐々に改善が見られたりします。本を声に出して読むことで、口を使って脳にも刺激が行き渡り、内容も自然と頭で理解しようとするので、記憶障害に効果があります。

音楽を聴く

聴覚を使うことも記憶障害に効果があります。音楽を耳で聞くことで、脳に刺激が行き渡り、症状が改善することがあります。ヒーリングミュージックやクラシックなどは妊婦さんにも胎児に良い影響があると考えられ、聞いているだけで脳にいい効果があるとされています。

折り紙をする

受動的でなく、自ら手や体を動かすとより効果があります。老人ホームなどでも実践されているように、折り紙などで手を動かすことで脳が活性化されます。また考えながら紙を折るのでさらに効果もあり、比較的簡単に行える方法なので、多く場所などで実践されています。

塗り絵をやる

手を使って作業を行うことで、脳にも刺激があるのですが、さらにビジュアルを駆使するとさらに脳への刺激が高まり、効果があります。塗り絵は折り紙と違いオリジナリティができますので、クリエイティブな作業でもあります。どの色で塗るかということを考えながら作業をするので、脳も活性化され、楽しみながらできるのでストレスなく効果的です。

軽い体操をする

体を動かすことは脳にも刺激がもたらされとても良い方法です。ジョギングや筋トレなどハードな運動をすると体や脳に負担がかかり逆効果になることがあるので注意が必要です。体操をするなど、軽く体を動かすゲームなどをする程度で十分に脳が活性化されます。

家族や介護者はどのような対応をするべき?

本人の記憶が抜け落ちてしまい、現実とつじつまが合わなくなってしまったとしても、周囲がそれを否定したり無理に修正することは避けるべき。本人にとっては覚えている記憶がすべてであり、「それは違うでしょ」と否定されると、極度な不安に陥ってしまい障害がさらに進行してしまうことがあるからです。

現実とは異なっているような発言や行動があっても、いったん笑顔で受け止めることで、本人が安心して過ごせるようにしてあげることが大切です。

責めてはいけない

一番やってはいけなく、一番やってしまうがちなのが相手を責めてしまうことです。子供のしつけなど、できないから叱ってできるようにすると考えられていますが、相手は老人の場合が多いですし、安易に叱ったりするととんでもない行動に出たり、さらに記憶が悪化したりするのでとても繊細に行動しないといけません。

諦めずに注意

同じことを繰り返したり、同じ質問をされたりすると付き合うのが嫌になったり、適当な回答をしたりする場合もあります。こうした行動は相手側にも伝わりますので、逆上して困らせてやろうとトラブルにつながる行動を起こす危険性があります。症状と向き合って、根気よく対応しないといけません。強く叱ってはいけませんが、優しく諭すように言えば、相手も少しずつ改善しようとしてくれますので、諦めないように付き合っていきましょう。

周りのことを整理

病気の症状だと、いろいろな頃を同時にするという能力がないので、身の回りのことを整理する必要があります。家の掃除をしないといけない、食事を食べないといけない、公共料金を支払わないといけないなど普通の人が並行して考えられる作業でも記憶障害の方は、同時に並行して計画を立ててやるという行動ができないことが多いので、整理して、やることを一つ終えたら、また次の作業をいう風に行動を整理することが必要となります。

食事も重要

栄養素を摂ることも記憶障害につながる脳を活性化して、効果があります。一般の人と同じく、過度なジャンクフードや脂っこいものを食べる、または野菜などで極度にカロリーの少ないダイエット食などを食べることは避けてください。バランスの良い食事をとり、肉魚野菜を3食腹八分目くらいにとるのが理想です。飲酒や喫煙も過度にすることは避けて、栄養価の高いものを摂取するのを心がけましょう。

記憶障害の方が優れている能力とは?

記憶障害はすぐ忘れたり、同じ行動を繰り返したりとマイナスなことばかり先行しがちですが、逆に特殊能力というほどの、一般の人でもできない能力を持っていることもあります。芸術家などは一般の人が当たり前にできることができなく、逆にその人しかできない能力があるので、そうした能力を伸ばせて、専念してもらうことで、一つのことに集中できるので才能が開花することもあります。

大昔の記憶が鮮明

ちょっと前のことをすぐ忘れてしまう一方で大昔の何十年前の記憶を覚えているということがあります。少し前の食事を忘れているにもかかわらず、大昔の小学生時代に遊んだ記憶などが残っていたり、若い頃の起こった事件の詳細などを克明に記憶して語り出したりと、特殊とも言える能力を発揮することもあります。

顔のちょっとした表情を読み取る

記憶障害だと全てが鈍感だと思われがちですが、相手のささいな行動も敏感に感じ取るという能力があります。介護する方が面倒くさくなり雑に扱うようなことは、その方によく伝わり、怒りの行動を起こすこともあります。丁寧にやっていても顔が嫌そうな表情をしていれば、それも敏感に察知して、傷つきますし、それ相応の行動をとることがあります。

記憶障害と現実的に向き合うには?

病院に入院させるなど最終的な手段もありますが、現実的に一緒に記憶障害の方と住んでいるとしたら、できる限り揉め事を起こしたくないということもあります。現実的に付き合っていくにはどうしたらよいのでしょうか。

メモで覚えさせる

口頭で言っても忘れてしまうので、文字で覚えさせれば形に残っていますので、行動を忘れるということはありません。メモがある場所が複雑だと、それを探すのにまた大変なので分かりやすいところに置くのも必要です。

スマホを活用

通信機能などがあると、やたら電話やメールを送るというトラブルも否めませんが、通信機能がないスマホを与えるのもいいかもしれません。アラームや自動音声機能を使い行動を知らせたり、カレンダー機能で自分の行動をメモしたり、またゲームで遊ぶことで脳トレにもなり、効果もあります。

認知症の予防方法まとめ
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