おやっと思ったら要注意知っておくべき認知症の症状まとめガイド

判断力の障害

認知症の症状の中でも、判断力の低下によって引き起こされる症状について、原因や対処法を交えながらご紹介します。

認知症による判断力障害とは

認知症の症状として判断力の低下がある場合、前頭連合野に障害が起きていることが考えられます。

判断力障害が起きる原因について

前頭連合野は脳の最高中枢として「定型的反応様式では対応できないような状況において,状況を把握し,それに対して適切な判断を行い,行動を組織化する」という役割を果たしている。

出典:前頭連合野のしくみとはたらき 渡邊正孝 公益財団法人 東京都医学総合研究所 生理心理学研究室 2016
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/36/1/36_1/_pdf

こちらを参考にすると、前頭連合野は判断力と理解力を司っている部分だということがわかります。脳は場所によって担当している役割が異なっていて、側頭葉は記憶、頭頂葉は感覚…となっています。

前頭連合野は前頭葉とも言われ、老化すると、脳の中で最も早く機能が低下してくる部分です。脳の最も大切な部分にあたるので、前頭連合野に障害が起きると、人間としての考える力は大きく失われてしまうでしょう。

判断力とは

前頭連合野では様々な思考処理を行っていて、次のような能力を総合して判断力と言います。

  • 空間認識
    目で見たものの状態や形を認識する能力
  • 見当識
    現在の日付や自分の現在の状態を認識するための能力
  • 注意力
    集中するための能力、2つ以上の物事を同時に行う能力
  • グルーピング
    物事を区分けするための能力

認知症の症状と判断力の低下

前頭連合野は老化によって機能が低下しやすいですが、老化と認知症を見分けるためのポイントはどこにあるのでしょうか。

認知症で判断力の低下が起きる時期

進行したADでは後方連合野だけでなく前方連合野にも障害が及び,意味的側面の崩壊が激しく判断力の低下も著明になる。

出典:アルツハイマー型認知症の言語症状の多様性 松田 実 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/35/3/35_312/_pdf

まず、一般的に認知症の初期段階で障害が出てきやすい部分は、後頭連合野だと言われています。後頭連合野は視覚情報を担当している部分ですので、判断力には関係がありません。

そのため、認知症が進行した段階で判断力の低下が発生します。他に認知症らしき症状がなく、判断力のみ低下しているようであれば、認知症ではなく老化だと考えられるのではないでしょうか。

認知症による判断力低下の症状

認知症によって引き起こされる判断力低下の症状を、具体的に見ていきたいと思います。

迷子になる、街を徘徊する

これは見当識が低下し、自分の現在の状態が分からないので、自分がいる場所を認識することができないために起こります。また、空間認識能力が衰えるために迷子になることも考えられます。

善悪が判断できなくなる

自分の行動の善悪が判断できなくなり、支払いをせずに店を出てしまう、交通違反を犯してしまうなどの行動が目立つようになります。

抽象的なことが理解できなくなる

「あれ」「それ」「冷たいもの」「甘いもの」など、代名詞や抽象的なことを理解できなくなります。これはグルーピング能力が低下しているためだと考えられます。例を挙げるなら、「甘いもの」というグループ分けが出来ない状態です。

混乱しやすくなる

とっさの事態が起きる、いつもとは違う環境に置かれるなどで、パニックを起こしてしまう可能性もあります。また、物事を同時進行させようとすると混乱します。

判断力の低下で認知症の症状と疑われる場合の対応について

認知症で見られる判断力低下の症状について見てきましたが、こういうときに、家族や周囲の人たちはどのように対応すれば良いのでしょうか。上でご紹介した症状にあわせた対策をご紹介します。

迷子や徘徊があった場合

この時の対応としては、一人で外出をさせないこと、一人にしておく時間を作らないことが最善の方法です。周囲の人にも注意してもらうようにお願いしておくことをおすすめします。そうすれば、万が一一人で出掛けてしまったときでも安心です。

万引きをしてしまった場合

認知症の症状のためにも怒らない方が良いでしょう。本人は善悪の判断が出来なくなっているため、どうして怒られているのかが理解できす、怒られたことによる気分の変化で、認知症の症状が悪化してしまう可能性もあります。また、自宅周辺のお店の人に事情を説明しておくことも大切です。

抽象的なことがわからない場合

代名詞や抽象的なものが理解できない状態であれば、抽象的な言い方では伝わらないことが多いため、具体的な名前を言ってあげてください。「風邪薬を貰いに○○病院に行く」など、名前や目的をはっきり伝えると伝わりやすいです。

混乱する場合

急かさないでゆっくりと考える時間を与えてあげることが大切です。時間をかければ混乱しないので、考えているときには根気強く待っていましょう。しっかりと考えてもらった方が認知症の進行は遅くなるので、本人が考えられるようにサポートしてあげることも大切ですね。

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