おやっと思ったら要注意 知っておくべき認知症の症状まとめガイド

認知症を予防&早期発見して対策を65歳以上の高齢者の10%程度が罹患すると言われている認知症。厚生労働省の試算では2020年には患者数が325万人にまで増加するのでは、と懸念されています。このサイトは、認知症の症状について詳しくお伝えし、認知症の予防や早期発見に必要な情報をまとめてご紹介するサイトです。

もしかしてこれって認知症の初期症状?

認知症の初期症状?年齢を重ねるごとに、誰しも物忘れは増えるものです。しかし、過去に起きた出来事そのものが抜け落ちてしまったり、慣れた作業の手順を忘れてしまったりと、極端な物忘れが多くなったら、認知症を疑った方がよいかもしれません。また、認知症の種類によっても初期症状が異なるので、それぞれの初期症状についてまとめました。

認知症の初期症状について詳しく見る

認知症の症状ってどんなものがある?

認知症の症状を大きく分けると、脳の機能低下によって起こる中核症状と、中核症状に伴って表れる周辺症状とに分類されます。中核症状はほとんどの罹患者に表れますが、周辺症状は、その方の性格や生活環境などによって表れることがある二次的な症状です。

中核症状

脳の機能低下が原因で起こる、核となる症状。ほとんどの罹患者に起こります。

記憶障害

直近の出来事を忘れる短期記憶障害、古い記憶が抜け落ちてしまう長期記憶障害、道具の使い方などを忘れてしまう手続き記憶障害などがあります。断片的ではなく、出来事そのものを忘れてしまう特徴があります。

見当識障害

現在の日にちや時間、自分がいる場所などが分からなくなってしまう障害。夜中に出歩こうとしたり、季節はずれの服を選んだりしてしまう特徴がみられます。

実行機能障害

目的を達成するための準備や手順が分からなくなり、行動できなくなる障害です。お料理ができなくなったり、リモコンや電化製品が使えなくなったりという症状が表れます。

高次脳機能障害(失語・失認・失行)

失語は言葉を正しく理解できなくなることなどを指します。失認は目の前の状況を正しく判断できなくなること。失行は体は動かせるのに、目的とする行動方法ができなくなる特徴があります。

周辺症状

中核症状に起因して起こる二次的な症状。行動症状と心理症状があります。

徘徊

家の内外をあてもなく歩き回ったり、不適切な時間に外出したがったりする症状です。外出したがるタイプと、どこかへ帰りたがるタイプ、ウロウロ歩き回るタイプがあります。

失禁・弄便

排尿機能が低下することで起こる失禁と、運動機能の低下によってトイレまでの移動が難しくなり起こる失禁があります。弄便とは便を便と認識できず、触ったりいじったりする行動を指します。

睡眠障害

高齢になると一般的に眠りが浅くなります。この状態がエスカレートし、昼夜が逆転した状態になり、夜中に活動が活発になることなどの症状がみられます。

暴力・暴言

脳機能の低下によって感情の抑制が難しくなり、感じたことがそのまま出てしまうことで暴力や暴言が起こります。穏やかだった人が暴力的になることもあります。

物盗られ妄想

認知症の初期に表れやすい症状で、大切にしているものを盗まれたと思ってしまう症状です。自分が疎まれているのでは?といった不安が引き金で表れることもあるようです。

幻覚・錯覚

レビー小体型では初期から表れやすい症状。見間違いや聞き間違いを、間違いだと判断する機能が衰え、本当だと確信してしまうことで起こることが多いようです。

せん妄

興奮状態で意識がなくなり、暴れたり大声を出したりする症状。環境が変わった直後などストレスを感じた時に起こる場合が多いようです。夜のみに起こる夜間せん妄もあります。

うつ・抑うつ

食欲が減退したり意欲がなくなったり、ネガティブな思考が多くなります。引越しや施設への入所などによって、住環境の変化に不安を感じてうつになってしまう場合があります。

食行動の異常

食事をしたことを忘れてまた食べてしまう過食や、食べ物ではないものを口にしてしまう異食があります。記憶障害や認識力の低下によって起こる症状です。

事件や事故にも繋がってしまう認知症による徘徊行為

認知症とは脳の機能障害が原因で起こり、精神活動や身体活動がスムーズに運ばなくなる症状を指します。かつては痴呆症と呼ばれましたが、現在ではその差別的呼び方はされず、認知症と統一して表現されます。しかし認知症は正式な病名ではありません。まだ病名が決まっていない一連の脳機能障害症候群の呼び方で、医学的な診断が決められず、原因もはっきりしていない方の病態です。

認知症には次の3つの種類、アルツハイマー型、脳血管型、レビー小体型が知られています。認知症の約60%はアルツハイマー型で、海馬を中心に脳の広範囲に脳細胞の変性や死滅が見られます。このため、多くの方は認知症=アルツハイマーと思っています。認知症の約20%が脳血管型で、脳梗塞や脳出血などで脳の血液循環悪化で脳細胞の一部が壊死してしまうものです。こうした脳の神経細胞破壊で起こされる代表的な症状が記憶障害(物忘れ)です。加齢による物忘れは自覚があり、一部の物忘れで済みますから日常生活には支障がありません。しかし、認知症の場合は自覚がなく、広範囲の物忘れが起こるため、日常生活に支障をきたします。

認知症の障害で最も指摘されるものに徘徊があります。特に野外で徘徊すると、重大な事故や事件に遭遇しますから、介護をされる方が一番苦労されるものの一つに挙げられます。

認知症の方が徘徊するのは理由がある行為

徘徊は認知症に良く見られる特徴的な動作で、家の内外を歩き回る行動として、認知症の行動・心理症状(BPSD)のひとつとされています。徘徊自体は利用もなく自分勝手に、あるいは無意識に行っているのではなく、歩き回るのにはそれなりの理由があります。ハタ目には目的が不明のように映りますが、認知症の当人にはちゃんとした理由があって行っている場合が多いと言えます。

一例を挙げれば、かつて大工職業に従事していた方が、昼夜を問わず「現場に行って建物を見に行ってくる」と言って外出しようとしたり、家の中で眼鏡や新聞などを探したりしているケースも見られますが、これは当人にとっては自分に必要な、あるいは切実な行為であることが多いわけですから、周囲の人達はこうしたことを理解してあげなければなりません。決してむやみに歩き回っているのではありませんから、こうした行動を叱りつけたりしても何の解決にもならないのです。気をつけるべきは事故などに遭わないような対策を考えておくことです。

徘徊をしている目的とは

徘徊自体は、歩き回っている当人にとって、実ははっきりとした目的があります。何かをするために歩いているわけで、多くの場合は何かを探すのが動機になっています。しかし、探している物が見つからない、あるいはそこになかった時には、探し続けようとしますが、途中で探していたこと自体を忘れてしまうケースもあります。外出中にこれを行っていると、結局歩き続けてしまい、長い時間の徘徊になってしまいます。認知症になると脳の感覚も鈍くなりますから疲労感が少なく、夜通し歩いてかなり遠方まで行ってしまうことも。こうした徘徊をしている人の目的を探ることは、徘徊を防ぐ方法を見つける手段に繋がりますから、当人の様子を観察したり声をかけたりして目的を聞いたりしましょう。

1.トイレを探している

家の中での徘徊で最も多いのがトイレ探しです。トイレの場所を忘れてしまい、家の中を探しまわります。お年寄りに多いのですが、この間に我慢できずに失禁してしまうこともあります。トイレが分かり易い場所にあれば良いのですが、大抵の場合、奥まったところに有り、戸が見つけにくかったりします。こうしたことから失禁に備えて紙おむつを着用させているケースも多いでしょう。毎日何度も排泄しなければならないことですから、トイレが見つけやすい工夫が必要となります。

2.自宅に帰ろうとしている

家の外で徘徊した場合、最終的には自宅に戻ろうとします。しかし、幼い子と同じように、遠方まで出かけてしまいますと、自宅までの経路が全く分からなくなり、歩き回るようになります。これが典型的な徘徊のパターンですが、暗くなりまで徘徊し続けると、車に衝突したり、穴に落ちたり、ちょっとした崖から転落したりする危険性が増してきます。本来は誰かが付いて出かければ良いのですが、誰も気が付かないうちに外出してしまうことが多いのです。

3.仕事に出掛けようとしている

人間の記憶には、短期記憶と長期記憶があります。短期記憶は大脳辺縁系の海馬が主に働き、長期記憶は大脳皮質の側頭葉に保管されています。脳細胞が衰えると海馬が萎縮したりして短期記憶が欠落するようになり、長期記憶はまだ健在のケースがあります。昔、外で働いていた方は、長期記憶に働いていた頃の記憶が残っていることが多いですから、かつてのように仕事に出かけようとします。これも徘徊の動機になり、昔の仕事時間帯になると外出してしまい、徘徊に繋がります。

徘徊が始まったら問いかけてみよう

認知症の症状が現れて家の中を徘徊し始めたことに気づいたら、トイレや部屋を探している目的の場合も多いのですから、「トイレに行きましょう」とか、「自分の部屋へ戻りましょう」などと、当人に声をかけることが非常に大切です。トイレならば入り口まで誘導できますし、それ以外の目的なら、それを可能な限り叶えてあげてから部屋に連れて行きましょう。声をかけることは認知症の方にはとても重要で、症状の進行を遅らせる効果もあるのです。

また、頻繁に家の外へ出てしまう傾向が出た場合は、その家の中に当人にとって何か不安な要素があるのではないかと疑ってみてください。幻覚などを覚える方には、家の中にいるだけで恐怖を感じてしまい、家の外に逃げようとします。こうした不安が積み重なって、最終的には頻繁な徘徊に繋がるケースもあるわけです。こうした状況でも、本人の言い分にしっかりと耳を傾け、不安をひきおこしている原因を探っておきましょう。

外に徘徊に出た場合は警察へ連絡

認知症の方が徘徊で帰宅しなくなった時は、すぐに警察に連絡しておきましょう。事件や事故に遭遇している可能性もあります。家族だけで探すには限界がありますから、警察に通報しておくのが先決です。 行方不明になった認知症の方もおられ、警察や自治体のホームページでも情報公開をおこなっております。場合によっては身許不明者として自治体で保護されていることもあります。また近年、高齢者や認知症がある方の自動車運転が問題視されています。交通事故に遭う危険性があるわけですから、症状のある方には絶対運転をさせないよう注意を払ってあげて下さい。

自治体によっては居住地域別・SOSネットワークが設けられていて、認知症高齢者等行方不明者手配のメール配信も行われています。徘徊から戻らなくなった時は、警察や自治体に早急に連絡を入れて捜索の範囲を広げる必要があります。認知症の方を探すのは困難なことが多く、家族も疲弊してしまいますから、日頃から徘徊を減らす工夫をしましょう。

徘徊を減らすための工夫を考えてみよう

徘徊の症状自体を治すのは難しいですが、回避策を講じたり徘徊の頻度を減らしたりする工夫は可能です。

  1. トイレ:探して徘徊する場合、ドアにすぐ分かるサインを貼ったりしておきます。日々の行動をチェックし、「そろそろトイレに行きますか」と声をかけてトイレに誘導しましょう。
  2. 玄関の鍵:外に出かけてしまう方には、玄関にもう一つ鍵を設置するなどの工夫をします。また用心のため、ドアが開いたら音が鳴るようにしておくのも良いです。
  3. 同伴する:徘徊している時、部屋へ戻るよう誘導すると怒ることがあります。気が済むまで歩かせ、転倒の危険もありますから一緒に歩くのがベストです。
  4. 名札やGPS利用:服の内側や靴などに名前・連絡先を書いておくのも効果的です。GPS機能が付いた小さなアクセサリーも販売されています。
  5. デイサービスなどを利用:無理に外出を止めさせるとストレスを覚えます。デイサービスなどに出かける習慣があると落ち着くことがあり、家族の負担も軽くなります。
  6. 家族の気持ち:不安やストレスを抱きますが、対策に向けて気持ちを切り替えることも必要です。原因を探しだして適切な対応を心掛けましょう。

食習慣を見直す

食習慣の見直しは、脳の働きを改善する上で1番手軽に始められ、1番重要といってもよい行動です。毎日の食事に気を使うことで、体は健康に保たれます。

また食材の中には、認知症の予防に期待ができる、脳の機能を活性化させる成分や、抗酸化作用のあるものもあります。それらを積極的に摂取することで、脳の老化を食い止めることにつながるのです。有名なものだと魚や大豆、イチョウ葉などが認知症の予防に効果が期待できると言われています。

また、近年注目されているのが“わさび”。わさびが持つ抗酸化作用と血流改善作用が、脳の酸化を防ぐと同時に、血液をさらさらにして脳を活性化するといわれています。

わさびが脳に働きかける作用とは

適度な運動を行う

ウォーキングなどの適度な運動は、認知症の予防に期待できます。また、アルツハイマー型の原因となるアミロイドβという物質を分解する酵素が増加することが分かっています。足腰が弱く毎日散歩に出かけることが困難な方は、座ったまま手だけを動かす運動でも十分効果が得られるとのことです。

人と積極的な交流をする

他人の気持ちを推し量って上手に接することは、高度な機能を使用する必要があり、脳の活性化につながります。また、人と交流することによって外出する機会を増やし、身体的な運動につながるケースもあります。特に若い方は今のうちから、友人関係やご近所との付き合いを大切にしておくのも良いでしょう。

睡眠時間をしっかりとる

夜眠れなかったりすると、生活のリズムが狂い、体や脳に悪影響を与えます。脳は睡眠中に休息やメンテナンスを行っており、必要なだけの睡眠が取れなくなると、脳の神経細胞へ直接的に影響が出て、機能低下につながってしまいます。睡眠によって認知症の原因となる老廃物を排出する働きもあります。

脳トレをする

身体的な運動を行うと同時に、脳の運動も習慣付けることが大切です。簡単な計算やパズル、書写や音読、将棋や囲碁、毎日必ず日記をつけるなど、数字や言語、図形や色などを見る、聞く、使うことが脳の活性化につながり、記憶する機能や、計算をする機能、良し悪しを判断する機能などの向上につながるのです。

わさびが脳に働きかける作用と
健康にもたらされる効果とは

わさび強い抗酸化力を持つワサビスルフィニル!生の本わさびは強い解毒作用や殺菌作用を持ち、摂取することで健康効果が得られる希少な食品ですが、特に注目すべきは本わさびに含まれているワサビスルフィニルです。
体内に有毒な活性酸素が発生するのを抑える作用があり、脳を酸化する害から守ってくれると同時に、脳の神経細胞を強化する働きもあると言われています。また、余分な脂質などで滞りがちな血流を改善する作用もあることが確認されており、脳梗塞などの疾患を防ぐ効果も期待できます。

※ワサビスルフィニルについて
「金印わさび」が独自の特許製法で有効成分をわさびから抽出し「ワサビスルフィニル」で商標登録しています。

注目成分ワサビスルフィニルの効能とは

認知症の予防・改善に効果が期待できる成分一覧

栄養分となって脳細胞を強化したり、脳を活性化させるものとして、様々な成分があります。その中から特に有効だと言われているものをピックアップし、成分の特徴や認知症への効果、含まれている食品などを紹介しています。

DHA・EPA

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の一種で、脳の栄養分となって脳細胞を強化。EPA(エイコサペンタエン酸)は、サラサラ血へ整える効果があります。

フェルラ酸

ポリフェノールの一種で、抗酸化力が強いため、食品の酸化を防ぐために使用されていましたが、最近になって特にアルツハイマー型認知症に効果があると言われるようになりました。

プラズマローゲン

高い抗酸化作用を持つリン脂質の一種。脳の神経細胞の細胞膜などに含まれていて、脳を酸化ストレスから守る最強の防御成分だとされています。コレステロールの排出などの作用もあります。

レシチン・ホスファチジルセリン

どちらも人体の細胞膜などに含まれているリン脂質で、脳をサポートする作用を持っています。ホスファチジルセリンは特に希少な成分で、脳の神経細胞膜で存在濃度が高くなることが確認されており、高い確率で神経細胞に作用します。

ポリフェノール

植物の苦みや色素に関連する成分の総称。自然界には数千種類存在しており、人体で有害な活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用が強いことで知られています。主なものとして、カテキンやイソフラボン、アントシアニンなどがあります。

認知症の
基礎知識を
知っておこう

自分自身や家族が認知症にならないために、または発症してしまった場合も早期に対応できるように、認知症に関する基本的な情報を学んでおきましょう。認知症の種類や発症原因、現在の治療法や薬の種類などについて紹介しています。

そもそも
認知症とは

何らかの原因によって脳が委縮して機能低下してしまう進行性の病気。いくつか種類があり、アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管型、前頭側頭型などが代表的なものです。

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認知症が
発症する原因

認知症の原因は様々あります。アミロイドβやタウなどの特殊なたんぱく質が脳に蓄積されて起こるのがアルツハイマー型。脳梗塞などの血管の疾患によって起こるものが脳血管型です。

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物忘れとは
違うのか

認知症の記憶障害は、通常の物忘れのように細かいことがらを忘れてしまうのではなく、体験そのものが抜け落ちてしまいます。記憶の中に、そのエピソードそのものが存在しなくなるのが特徴です。

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完治するのか

認知症は進行性の病で、現在のところ完治できないと言われています。脳血管型で外科手術が可能な場合は、症状が改善することもありますが、残念ながらほとんどのケースでは進行を止めることはできません。

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治療法は
どのような
ものか

一般的な認知症の治療は、症状の進行を抑制するための投薬治療と、リハビリ治療の2本柱で行われます。投薬は効果と副作用とのバランスを見て服用するかどうかを決定します。

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薬の種類と
効果は

アルツハイマー型とレビー小体型2つのタイプの認知症には投薬治療があります。脳の神経伝達物資の分解を阻害するものと、グルタミン酸の放出を防ぐものなど4種類あります。

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認知症になり
やすい人って
どんな人

認知症のリスクが高いのは、肥満気味で高血圧や糖尿病などの生活習慣病の持病がある方や、逆に痩せすぎの方など。ネガティブ思考でうつ気味の方、神経質で怒りっぽい方なども注意が必要です。

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家族が認知症になり介護が必要になったら

大切な家族が突然認知症と診断されたら、どんな方でも動揺してしまうはず。そんな時、どんなことに注意して接すればよいのか、介護にはどれだけお金がかかるのかなど、実際に役に立つ情報や心得などを紹介しています。

認知症のかたへの接し方は
どうすればいいのか

認知症介護の基本は信頼関係。患者本人と、家族や介護者との関係次第で症状が緩和したり悪化したりが大きく左右されるのです。本人が安心して過ごせる環境を整えてあげることが最も大切なことです。

認知症介護にかかる費用と
国からの援助は?

病院での治療費は他の疾患等と同様に、医療費控除や高額療養費制度などが適用されます。介護サービス料についても高額介護サービス費や高額介護合算制度などの控除や返金が受けられます。

認知症と判断されたらまずやるべきこと

認知症と診断されて、落胆してしまう家族もいます。しかし、認知症と診断されたからと言って落胆するのはまだ早いです。

まず認知症と診断されてからやるべきことがあります。1つ目は本人の心のケアです。認知症と診断されれば、当然家族もびっくりしますが、本人が一番びっくりします。診断されてから自分の人生が終わったと落ち込んでしまう患者さんも少なくはありません。まずはご家族が本人に寄り添い、これからどうやって一緒に乗り越えていくか、きちんと話し合うことも大切です。

2つ目はエンディングノートをつけさせることです。エンディングノートとは終活をしている人が、自分らしく生きる事と終焉を書き綴ったものです。このエンディングノートをつけさせることで、これからどんな人生にしたいのか、本人と周りの人が情報を共有することができます。

1.認知症の正しい知識を身につける

日本人の多くは認知症とはどういうものか、という専門的知識を得ている人は限られています。

そのため、家族や周りからはただの物忘れの激しい人と思い込まれてしまい、なんでこんなこともわからないの?何度も同じことを言わせないでなど傷つくような発言を言ってしまうこともあります。

こういった相手を精神的に追い込むような発言が、本人を苦しめてしまい、認知症という症状を悪化させてしまうこともあります。まずは本人とその周りの人が認知症に関する専門的知識を身に着けるために、一緒に本を開いてみたり認知症を専門とする医師にきちんと相談をしたり、認知症に関する正しい専門知識を身に着けることによって、患者さんを精神的に追い込むことも少なくなり、自然と寄り添っていける形ができあがります。

認知症に関する勉強会などセミナーが開催されていることもあるので、こういったセミナーへ参加すれば認知症の勉強だけはなく、認知症の家族を持った方と接することもでき、様々な情報を共有しあうことができます。

2.認知症である本人をケアする

医師が患者さんにはっきりと認知症と伝えられるケースが多いことから、精神的にショックを受けてしまう患者さんはいます。これからどうやって生きていけばいいのか、将来自分はどうなってしまうのだろうかという将来に関しての不安が多くみられます。

また今までできていたことができなくなっていくと、不安やストレスを抱えてしまい、不安定な精神状態が続きます。ご家族や周りの方も、この先どうすればいいのか考え込んでしまうかもしれません。

しかし一番つらいのは家族ではなく本人です。この先どうなってしまうのかという漠然とした不安が押し寄せてくるため、ストレスで眠れなくなってしまう人も少なくはありません。

そんな本人の気持ちにまずは寄り添い、不安やストレスを取り除いてあげることが先です。ストレスを緩和することで症状の進行も遅らせることができ、問題行動も減少します。万が一家に一日こもるようになってしまったら、デイサービスの利用もおすすめです。

3.利用できるサービスを知る

介護をする家族としても、介護をしていくうえで不安やストレスを感じることもあるでしょう。そんなときは地域の利用できるサービスを知ることも大切です。

介護相談窓口や地域包括支援センターなどでは、経験豊富な介護の専門家が存在します。認知症の患者さんがいるご家族で、介護に関する不安などを相談できる窓口や各市区町村の窓口で要介護認定を受け、デイサービスを利用することができます。

デイサービスは毎朝決まった時間に介護職員がご自宅まで迎えに来て、入浴介護や食事介護、歌や手遊びをして患者さんが楽しく過ごせるような施設となっています。決まった時間に患者さんを自宅まで送り届けてくれるので、その間に家族の人もリフレッシュすることができたり、自分の時間を過ごすことができたりする為精神的や肉体的にも楽になります。

まずは窓口へ足を運び、近隣にどんな施設があるのか相談してみるといいでしょう。患者さんの年齢が若い場合、若い人が利用しているデイサービスを紹介してくれる場合もあります。

近所の人や親戚にサポートしてもらうことも大切

認知症の場合、一番恐ろしいのは徘徊です。徘徊をするのは比較的認知症の症状も重く、家族が監視をしていてもトイレに行ったわずかな時間に家から出ていってしまい、そのまま徘徊をしてしまうというケースが多いです。

徘徊で最も恐ろしいのは交通事故です。意識がはっきりとしている人なら、外へ出ても車は来ないかなど危険を予測したうえで行動をすることができます。ところが認知症患者さんには危険を予測することもできず、自分でかんがえて何かをするという能力も低下していることから、危険を回避することも難しいでしょう。安全確認もしないでそのままふらっと道路に出てしまって事故に巻き込まれ、最悪の場合なくなってしまうというケースは決して少なくはありません。

まず認知症で徘徊が始まったら、近所の人や親せきのサポートを受けることも大切です。近所の人に認知症であることを伝えれば、万が一外に出ていても家族の元まで送り届けてくれることがあるからです。また妄想などがあると、ご近所さんや親せきにありもしない噂や悪口を言われてしまい、ご近所や親戚同士のトラブルに発展することもあるからです。

認知症と診断された時点で、ご近所や親せきなどに聯絡をすることでトラブルを防ぐこともできます。ご近所の方で交友関係があるなら、なおさら伝えておくほうがいいかもしれません。

またご近所へ挨拶をする時は本人も一緒に連れていき、名前と顔を知ってもらうことで万が一何かあっても迅速に対応をしてくれます。認知症だからといって近所や親せきに隠す必要はありません。徘徊をしてしまい事故に巻き込まれるよりも、何かあった時のために認知症になったら周りの人のサポートも受けるようにしましょう。

認知症と向き合う上でやってはいけない言動

認知症の方にやってはいけない言動が7つあります。相手を不安にする言動・暴言に否定・上から目線に行動範囲の制限・叱る・脳トレなどです。

なぜいけないのか、まず不安にする言動とは後ろからいきなり声をかけることや肩をいきなりたたいたり大声を出したりするとびっくりして転倒してしまいます。認知症の人は物事を忘れてしまいます。なんでこんなこともできないのか?など傷つくような言葉や本人の言葉を否定するような言葉は避けましょう。

育児でもよくありがちですが、これをしなさいといった命令口調は上から目線で物事を言っているため、落ち込んでしまいます。行動を制限すると何もできなくなってしまい認知症が進んでしまいます。

イライラしている時についついやりがちですが、叱ってしまうと認知症の方の自尊心を傷つけてしまうことになります。怒られるのが怖くなってしまい、ちゃんとやらなくちゃと思えば思うほど失敗して落ち込んでしまいます。

脳トレは脳を活性化させるからということで無理やりやらせようとする人がいますが、無理やりやらせるのは逆効果です。強制的に脳トレをさせることで、前はできていたことができなくなってしまった事に本人が深く傷ついてしまうことがあるからです。そのため脳トレは本人がやりたくないのであれば無理をしてやらせる必要はないのです。

認知症高齢者との接し方

認知症高齢者とうまく接していくにはまずは信頼関係を築くことから始まります。毎朝根気よく挨拶をして話しかけてみることで、高齢者認知症のかたの警戒心を解くことができます。

大声を出して攻撃的になるのは、言葉がうまく出なくなったことへのストレスや、今までできていたことが出来なくなったことへの怒りです。こういうときは相手の話をまずはよく聞いてあげてそれでもダメな場合は見放さずに別の方へ後退をしてもらって対応をしてもらうようにしましょう。

認知症の患者さんによくあるのは物を盗られたという妄想です。お金を盗まれた、大切にしていたものを盗まれたという妄想です。介護をしている側も、突然物を盗まれたといわれて怒りを感じる人はいます。またこういった発言をされたときに、置忘れやしまい忘れを指摘しても逆効果です。逆に共感してあげるほうがいいでしょう。一緒に探してあげたり見つかった時は一緒に喜んであげたりすると効果的です。

食事を食べたことを忘れるなど、直前の記憶が抜けてしまうことがあります。脳の機能も落ちているため空腹感を感じてしまうこともあります。さっき食べたでしょと叱っては逆効果です。今準備しているので待っていてくださいなど柔らかな言葉をかけてあげたり、フルーツや小さなおむすびをあげたりするといいでしょう。

幻覚や幻聴が見えるといわれた時に、見えないや居ないなど否定をするのは逆効果です。こういう時に良いとされる言葉は私が追い払うからこっちの部屋で休んでくださいと、部屋を移動させて環境を変えるといいです。知らない人が来ているといえば、郵便屋さんが来ていると言い換えればいいでしょう。

認知症に関するサービス3選

2025年には、認知症患者が600万人以上に及ぶと囁かれており、他人事とは思えなくなりました。予防できればいいですが、それが難しい点も認知症のネックな部分です。そして祖父母や自分の両親に認知症の疑いがある場合、家族ができることは何なのか、考えるはずです。また認知症になると、長い介護生活が始まるため、保険や在宅で受けられるサービスにどういったものがあるのかを知ることが大切です。さらにサービスを頼ることで、認知症患者を持つ家族にとって様々なメリットが降り注ぎます。

1.介護保険に関するサービス

家族がもし認知症になった時、介護保険が活躍します。また、介護保険を正しく活用するために、制度の仕組みや成り立ちを知ることが必要です。

介護保険の基本理念

認知症や高齢者など、介護を必要とする人が適切なサービスを受けられるようにしたのが介護保険です。社会全体で支え合うという意味合いも込められており、高齢化社会と言われる今の時代になくてはならない制度の一つです。介護者と被介護者が、安心してこれからも生活していくには介護保険を積極的使うことが求められます。

ただ介護保険は、身の回りの世話をするためにあるわけではありません。被介護者の自立をサポートする独立支援や、被介護者が自由に選択できる利用者本位、保険料に応じてサービスが受けられる3つで成り立っています。高齢化社会になる以上、生活する全ての人が自らの力で生活していくことはとても重要であり、そのためには社会全体が協力的にならなければなりません。これが介護保険の基本理念となります。

気になる仕組みとは?

介護保険制度は、40歳以上の国民が納めた保険料と、市町村役や国の公費で賄われています。これにより、利用者が支払うべき費用負担を全体の1割に抑えることが出来ます。加えて、段階に応じて様々なサービスが受けられるようになっています。国民は、40歳になると必ず支払い義務が発生しますが、支払い方法は第一被保険者と第二被保険者かによって異なるようです。

2.在宅で受けられるサービス

・訪問介護

ホームヘルパーが自宅を訪問し、身の回りのお世話をします。主に行なうのは、食事、入浴、衣類の着脱などで場合によっては、炊事を担当することもあります。

・デイサービス

デイサービスは訪問介護と違い、事業所に通所する形になります。受けられるサービス内容は、訪問介護とほぼ同じです。また、老人保健施設や病院に通ってリハビリを行なうため、足腰が悪い方にとってプラスになります。

・ショートスティ

家族が旅行や病気で介護ができない場合に利用されます。期間はおよそ一週間ほどで、その間入浴介助、食事介助など生活に必要なサービスを受けることができます。羽を伸ばしたい時にどんどん活用しましょう。

・小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は訪問介護、ディサービス、ショートスティが合わさったサービスです。24時間途切れることなく介護が受けられ、地域密着型なので安心して利用できます。原則として、施設がある地域に住んでいることが条件となります。

自宅での介護は、皆さんが想像している以上に大変です。精神的にも肉体的にも辛いでしょう。また近年は、介護疲れによる悲しい事件も起きており、とても他人事とは思えません。時には介護疲れから開放されて、ゆっくりする時間を作ることも大切でしょう。そのための在宅サービスなのでぜひ積極的に使って頂きたいです。

また在宅サービスを受けるうえで、ケアマネージャーや介護を支える支援事業所との関係性も良好にしていくことも必要です。

3.施設で受けられるサービス

在宅介護の他にも、施設で受けられるサービスも大変充実しています。また施設ごとにサービス内容が違うので、一つずつ紹介します。

・介護老人福祉施設

常に介護が必要な状態、あるいは自宅での介護が困難な方を対象にした施設です。昔は、要介護1以上の方を対象にしていましたが、2015年からは要介護3以上も入所できるようになりました。ちなみに現在入所中の要介護1の方は、継続して施設で生活を続けることができます。

・介護老人保健施設

要介護1以上を対象にした施設で、病院で治療を受けた後症状が安定している方が入所します。他の施設に比べてリハビリに重点を置いている点が特徴です。また施設でのリハビリは、理学療法士や作業療法士と共に計画的に行われます。

・介護療養型医療施設

病院で治療を受けたものの、病状が安定していない場合は介護療養医療施設への入所をおすすめします。長期間治療を続ける必要があるので医療設備が整っていることが条件です。また介護体制も整っているため、被介護者も安心できるでしょう。

・グループホーム

認知症を患っている方を対象にした施設で、入居者の数は少なめです。共同スペースが設けられており、他の入居者や職員とコミュニケーションをとることも可能です。ただ、医療設備が整っていないのが難点です。

施設に入るタイミングについて

現在認知症の家族を介護しており、ゆくゆくは施設に入所させたいと考える人もいます。しかし、どのタイミングで入所させるべきか迷うでしょう。一般的には心身的に疲れてしまった時、または限界を感じた時がタイミングですが、その限界を誰が決めるのかという点も重要です。

例えば、夜徘徊するようになった、暴力的になった、奇声を発することが多くなったなど具体的な出来事が何度も続くようなら入所する時期と判断できます。

在宅サービスを受けるメリット

家族が自宅で介護するのは精神的にも肉体的にも大変です。しかし、在宅介護をするメリットは大きく分けて二つあります。

メリットその1.本人に安心感を与えられる

在宅介護のメリットは、やはり本人が安心できることでしょう。実際プロにお願いした方が上手に介護してくれますが、見ず知らずの相手に世話されるのを極端に嫌う人もいます。自分をよく知る相手の方が、気兼ねなく要望を伝えられますし、住み慣れた場所の方が精神な部分でもいいです。

メリットその2.費用負担が減る

施設に入所させるにしても、様々な部分で費用がかかるため負担はかなりのものです。お金に余裕がない場合はやはり介護サービスを賢く活用して在宅介護しているようです。

デメリットもある?

在宅介護といっても、プロの手を借りずに行なうので負担は確実に大きくなります。そしてできることも限られてくるでしょう。認知症の場合は、家族の顔を忘れたり突然暴れだしたりするので自分たちではどうすることもできなくなることが多々あります。

施設サービスを受けるメリット

自由度の高い介護ができる一方で、施設サービスにも見逃せないメリットが沢山あります。

メリット1.見守り体制がしっかりしている

介護施設には、介護師、看護師が常にいるので急に容態が急変しても、すぐに対応できます。また基本的に24時間介護なので、夜中の徘徊にも対応可能です。また認知症に特化した施設なので認知症ケア専門のスタッフがいれば何かあった時適切な処置をしてくれます。

メリット2.気の合う友達ができる

赤の他人に世話されるのを嫌う入居者もいますが、入所すると気の合う友達ができたり、趣味が出来たりするので認知症患者にとってはベストな環境といえます。全体的にアットホームな環境なので、すぐ馴染めるでしょう。

メリット3.気持ちが楽になる

認知症でも、家族に迷惑をかけて申し訳ないとふとこぼすことがあります。また、初期の段階だと自分が認知症であることを理解し、自ら施設へ入りたがります。本人がそれで気持ちが楽になるならと、家族も受け入れることがあるでしょう。

サービスを選ぶ際の注意点

これから介護サービスを利用するに当たって注意点がいくつかあります。一つ目は、体制です。認知症は症状が重くなると介護経験者も大変な思いをします。そして職員自身も認知症を深く理解してなければいけません。施設で働く介護職員がどの資格を持っているか、どの程度知識があるのかは必ずチェックする必要があります。

さらに対応もみておきましょう。担当者がコロコロ変わるような介護施設は、問題が発生した時臨機応変に対応できません。また緊急時に対応できる職員が誰なのかも重要です。資格取得者ならある程度安心できるでしょう。

認知症のリハビリ療法とは

認知症治療に用いられるリハビリテーション療法について解説します。主なものとして音楽療法、アニマルセラピー、作業療法の3つがあげられます。それぞれどのような目的で、どのような方法で行われているのか、効果はどの程度見込めるかなどを紹介しましょう。

音楽療法

昔好きだった曲を歌ったり演奏したり、音楽を利用するリハビリテーションです。どなたでも比較的簡単に行うことができ、昔の記憶や感情をよみがえらせる効果もあります。

アニマルセラピー

犬などの動物と触れ合いながら行うリハビリテーションです。動物をお世話してかわいがる体験で自尊心を取り戻したり、昔の記憶や感情を呼び起こして心の安定を得ることができます。

作業療法

掃除や炊事などの家事を自ら行ったり、囲碁や将棋、ゲートボールを友人と楽しんだり様々な種類の作業を自分の力で行うことで、脳のトレーニングや身体機能の強化をはかるものです。

認知症を改善!リアリティ・オリエンテーションとは

リアリティ・オリエンテーションとはもともとは戦争の後遺症で脳に損傷を受けた方向けの治療法でした。

今では認知症の症状改善に向けてのリハビリとして広く取り入れられています。特に初期の認知症の方に利用される手法であり、直近の記憶である短期記憶を維持することが難しい方に効果的に働きます。

認知症になるとまず忘れがちになる、今日が何日かや直前の食事で何を食べたのかといったことを繰り返し問いかけるのが大まかな内容です。

その繰り返し行う訓練が脳の記憶中枢に働きかけるので認知症の方の認知能力が上がります。重ねて当たり前のことが分からない不安を抱えることが多い状態の方々に安心感を与える効果もあります。

合わせて認知症の方自身が相互に関わり合うプログラムも用意されています。思い出せない、わからないといったもどかしい感情を共有しながらコミュニケーション能力を高めることも症状の進行を遅らせる大きなヒントとなります。些細な会話で効果的な治療となる注目されている手法です。

リアリティ・オリエンテーションには2つの方式がある

リアリティ・オリエンテーションには二つの方法があります。24時間リアリティ・オリエンテーションとクラスルームリアリティ・オリエンテーションです。

それぞれ狙いとすることが異なり、やり方が少し違います。それでも会話を通じて認知力を上げ、認知症の進行を抑えることは変わりがありません。

薬を使った治療に伴う副作用の心配がなく、実行して失敗に終わることはほとんどないので少しずつでも導入していくことをお勧めします。

1.24時間リアリティ・オリエンテーション

24時間リアリティ・オリエンテーションはその名の通り、日常生活が全てリハビリの内容になります。自分の名前や今いる場所など変わらない情報を繰り返し尋ねることで認知症の方は今自分がそこにいる理由を再認識できます。

どこにいるのかわからない不安を取り除くことができ安心して過ごしてもらえます。また、今日が何日や外の天気など質問は同じだが回答の変わる質問をすることもあります。

質問の意味を理解し、自分の外のことに興味関心を持つことは進行を遅らせるために必要なことです。肝心なことは焦らず進めることです。

回答に時間のかかる方もいます。質問の意味は分かっているのに回答が出てこないとそのまま不安や焦りにつながってしまいます。時間がかかっても自分で思い出すことができたと達成感を持てるようにうまくフォローしましょう。

2.クラスルームリアリティ・オリエンテーション

24時間リアリティ・オリエンテーションが職員と認知症の方1対1で会話をするのに対してクラスルーム・リアリティ・オリエンテーションは職員一人と数人の認知症の患者の方がグループで会話をします。

一度の回は30分程度と少し短めに設定し、疲れを感じない程度に留めます。人数もあまり増えると一人当たりの発言時間が短くなってしまうので4,5人程度で行いましょう。

質問する内容は24時間リアリティ・オリエンテーションとほとんど変わらず今日の天気のことや直近の食事のことです。

どんな天気だったか、何を食べたかの事実はもちろん会話の中でその事象に対する感想が混ざるので認識はより強固になります。

そもそも発言するのが苦手な方には職員が促して発言できるようにしましょう。職員がファシリテーターの役目を務め、会がうまく進むようにします。

リアリティ・オリエンテーションのメリット

一対一か、グループかの違いはあれどリアリティ・オリエンテーションのメリットは会話によって生まれます。

認知症の症状の一つである直近のことを思い出せないことは自分のことが分からない恐怖を引き起こします。その点を補い安心いただくだけでも症状はずいぶん安定します。

自分は覚えていないと思うと人との会話も億劫になりがちです。同じ症状を抱えた人通しで会話をすれば自分だけ疎外感を感じることもなく自然に会話の中に入っていけます。

1.認知症の症状を遅らせる

大きな効果の一つは認知症の進行を遅らせることです。日常的に同じ質問を繰り返し行うことで記憶中枢を刺激し、日常に近いことの記憶を強固にしていきます。

認知症の方は自分の幼少期など過去のことはよく覚えていらっしゃいます。忘れてしまうのは直近何日の短期記憶に類するものです。プログラムでそこを補うことにより忘れてしまった内容を補足していきます。

肝心なのは忘れてしまったこと自体をそれほど深刻にとらえないことです。認知症である限り忘れてしまうことがあるのは仕方がありません。

どうやって思い出すかの方に重きを置きましょう。メモやホワイトボードの文字情報を活用してもいいでしょう。

質問する職員が答えを教えてあげるときも冗談めかすなど明るい雰囲気を作れば忘れていることがマイナスのイメージにはなりません。

自分は覚えていないからと殻に閉じこもるのが一番問題のある状態なので極力会話しやすい状態が出来上がっているようにします。

2.コミュニケーション能力を高める

認知症が進行すると他人への興味関心がなくなり自分の世界に閉じこもりがちになります。他の人との会話がなくなることで認知症の進行が早まることが分かっており、それを逆手にとってコミュニケーション能力を高めることを治療に使っています。

会話のきっかけこそ当日の天気など何気ない事ですがそこから連想されることでどんどん話を広げていきましょう。極力昔のことにはさかのぼらず直近1週間くらいのことで会話ができるように職員が質問します。

感情を人と共有できることは日常生活にハリをもたらし、自分が今いる集団に溶け込めている安心感を与えます。たとえマイナス感情の話題でも共感が得られればずいぶんすっきりするはずです。

ただし日頃の不満や愚痴を述べ合う会にならないような若干のコントロールは必要になります。コミュニケーションを取ることが楽しいと思えれば特別な会が開かれないところでも自然に会話が生まれていきます。そこまでくれば会話の滑柄が治療と呼べる素敵な状態です。

リアリティ・オリエンテーションの事例

特別な準備や難しいノウハウが必要ないため、リハビリ施設やケアハウスなど幅広いところで作業療法として取り入れられています。

会話の回数が重なってくると名前や天気だけでなく認知症の方自身が好きなものや興味のあるものに話が移っていきます。

同じ番組を見ていれば昨日見たテレビの話でも十分盛り上がることができ、そんな内容でもコミュニケーションを取るという目的は果たすことができます。重ねて目で見た情報は強い記憶になりやすい傾向にあります。

認知症の方の好きな役者さんや歌手さんがいればその方の写真や映像をそばにおいてそれに関して話すことも有効です。自発的に会話をしてくれるキーになるものはすべて使い倒すくらいのつもりで利用しましょう。

重要なのは思い出せないことにマイナスイメージを与えずに思い出せたことを盛大に喜ぶことです。どんな些細なことでも思い出し自発的に会話することは認知症の進行を食い止める大きなカギとなります。

効果的なリハビリを行うポイント

何かのテーマについて話し始め、盛り上がるとつい話が昔のことへ行ってしまいがちなのは認知症の方に限らずある程度お年を召された方には共通のことです。

しかし同じ思い出すと言っても幼少期などあまり過去のことだと効果が十分に発揮されません。

もちろんコミュニケーションを取るという意味では無駄ではありませんが可能な限り直近の出来事に関しての会話を繰り返しましょう。

ただし昨日見たドラマの内容など初めから難しいものにすると覚えていないことやうまく話せないことで会話すること自体を諦めてしまいがちです。

ちょっと別のことをしていても簡単に答えられるくらいの質問から始めてみましょう。説明が難しくなく、少ない単語で答えられるものを優先して選びます。

認知症の方は表には出さないにしても自分が何かを覚えていないことに不安を抱えています。

その不安を煽るようなことを避け、むしろ他に覚えている沢山のことを話す方が進行を遅らせるには効果的と言えます。

若い人にも増えている!若年性認知症と老年認知症の違い

認知症というと高齢者だけが発症する病気と思われがちですが若い世代でも発症することがあります。65歳未満で認知症を発症したときの症状を若年性認知症と呼んでいますが主な症状は同じです。

初期症状として物忘れが仕事などの日常生活に支障をきたすことなのも変わりませんが若年性認知症の場合、年齢が若いことが手伝って病院で認知症を疑われることが少ないです。先にうつ病や更年期障害の診断が出てしまうと、適切な治療を受けるまでに時間がかかってしまいます。

認知症の症状として少し進んだ症状になる不自然な行動や周りからは理解しづらい精神状態などが見え始めた段階で認知症と診断されることも珍しくありません。

認知症にもいくつか種類がありますがアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の原因は老年性も若年性も原因は同じです。発症数に差があり、若年性はアルツハイマー型と、脳血管性の症状が出る方の割合が高くなっています。事故による外傷性の認知症も件数が多いのが特徴です。

若年性認知症になる原因とは?仕事へのストレスが大きく関係している

一番件数が多いと言われている脳血管性認知症の原因は脳梗塞や脳出血などの脳血管障害です。脳の血管が詰まる、切れることを原因として脳の神経細胞に異常をきたします。大きな血管が詰まると倒れたりする重篤な症状が出ますが細い血管が徐々に詰まっていくときは段階的に進行します。

有効な対策は脳血管障害が起きないようにすることです。仕事のストレスでイライラすると脈も速くなり血流も増加します。動脈硬化などで血管の状態があまりよくない方からすればそれだけでも十分リスクです。

仕事が忙しすぎて水分が十分に取れておらずドロドロの血液が流れている、ゆっくり食事をする時間が取れず一気に食べるなどの生活を繰り返していると少しずつ血管にダメージが溜まっていきます。ストレス解消と銘打ってドカ食いをしたり、大量のアルコールを摂取したりするのはさらに危険です。

まずはストレスを感じなくて済むような仕事の方法を考えましょう。周りを変えると同時に自分のイライラの処理の仕方も身につけると楽です。

若年性認知症の予防には生活改善が効果的

第一の原因となっている脳血管障害は生活習慣を変えることでずいぶんリスクを下げることができます。端的に言えば血管が詰まる危険を避ければいのです。引き金となる疾患の脳梗塞やくも膜下出血を起こさないよう気を付けるだけでずいぶん違います。

若年性認知症の予防だけでなく様々な疾病を防ぐことができるので改善しておいて損はありません。アルコールが原因の認知症も飲酒習慣の改善で防ぐことができます。一滴も飲めないわけではなく、過度な飲酒を避けるだけです。生活習慣と同時に改善していけるポイントでしょう。

ないがしろにしてしまいがちなのが睡眠です。睡眠不足も認知症のリスクを高めてしまいます。食生活と同時に睡眠時間もしっかり確保しましょう。

体の健康とは異なりますが他者と交流して会話をすることもしっかりとした認知症予防です。家と会社を往復するだけにもかかわらず、家は帰ったら寝る、会社は出社したらパソコンとにらめっこでは脳への刺激が偏ります。何気ない会話を積極的に心掛け、趣味などの知的活動で仕事とは異なる刺激が与えられる場を確保しましょう。

認知症に関するよくある質問

認知症になった本人はもちろん、周りにいる家族もその病名だけでずいぶん不安になります。若年性認知症の場合、稼ぎ頭である立場の人が認知症になると家族全員の生活にも関わります。

事前知識がないと自分で情報を集めるだけでも大変です。悩み切って思い詰めてしまう前に相談できるところへ相談しましょう。かかりつけ医でも構いませんし、認知症の相談窓口が設置されている病院、役所もあります。コールセンターで電話相談を受けてくれるところもあるので家を空けられない方も相談できます。

Q.高血圧や糖尿病が認知症の原因になることはありますか?

間接的に原因になります。特に若年性認知症の原因に多い脳血管障害を引き起こす症状はすべて該当します。脳血管障害を引き起こしやすい状態を作ってしまう生活習慣病は全て間接的な原因になります。血管の弾力性を失わせてしまう動脈硬化、血液自体がドロドロになってしまう糖尿病の因果関係は間接的とはいえ深いものがあります。

よくある症状のように言われがちな高血圧も同様です。症状を改善するには生活習慣を改善するのが一番です。認知症や脳血管障害を防ぐのはもちろん、その他疾病の予防までいっぺんにできてしまうので取り組んで損はありません。特別難しいことはなく一般に言われる改善で構いません。

食べすぎや高カロリーな食事を避ける、適度に運動する、過度に飲酒しないなど少し気を付けるだけで効果が得られる項目がたくさん並んでいます。日々の習慣を変えるのは難しいかもしれませんが認知症まで予防できると思ってしっかりと改善に取り組みましょう。

Q.認知症になったら必ず薬を飲まないといけませんか?

認知症だからすぐに薬が出されるわけではありません。しかし適切な投薬によって症状の進行を遅らせることができるので投薬治療を受ける方は多いです。ただし認知症の種類によって効果のある薬が異なる上に、投薬量も症状に合わせて調整が必要です。

残念ながら失われた記憶能力を取り戻す治療法は現在のところありません。それでも投薬治療を行うことで少なくとも症状の進行をとどめ、効果が実感できれば症状の改善が期待できます。

また薬は決められた時間に決められた量をきちんと飲み続けることで効果を発揮します。しかし認知症の方は自分で投薬管理をすることが難しく、飲み忘れや飲みすぎを引き起こします。周りの方が注意して声掛けをすることで継続して飲み続けられるようにしましょう。

完璧ではなくても患者さん自体が管理しようと試みることは症状を食い止める上でも重要なことです。会話をしてコミュニケーションを取ること自体も進行を遅らせる一つの要素だと思って根気よく薬を飲みましょう。

Q.認知症の薬には副作用がありますか?

他の薬と同様に副作用がないとは言い切れません。がんの放射線治療のようなものとは異なり、副作用が起きずに薬を飲める人が大半ですが時には副作用が出てしまうこともあります。

もちろん薬によって副作用が異なり、飲み薬を起因とする下痢や嘔吐、張り薬を起因とする湿疹などが代表的なものです。症状の重い軽いにかかわらず、副作用らしき症状が出たら処方箋を書いてくれた医師に相談しましょう。他の薬との飲み合わせで副作用を引き起こしていることもあります。

他に常に飲んでいる薬がある場合はしっかりと申告して医師や薬剤師に把握してもらいましょう。同時には飲まない、一定時間を空けるなどの対策で両方の薬が飲めることもあります。薬を処方してくれる薬剤師に話をすれば必ず相談に乗ってくれますので大いに活用しましょう。

症状が進んでしまうと自分で副作用を認識していないこともあります。投薬を始めたら周りの方が不自然な嘔吐や肌の炎症などに気を付け、万が一そのような症状が出たら勘違いでもいいので早めに医師のところへ行きましょう。

Q.食事を食べさせてあげる時に気を付けることはあるでしょうか?

できることはやらせてあげる、できないことをさりげなくサポートしてあげるが原則です。症状の度合いによってもちろんできることとできないことがあります。できることは自分でやる方が脳への刺激になりそれ自体が認知症の進行を遅らせる小さくても大事な一歩です。

できないことがあるとめげてそこで止まってしまい、同じことは二度とやろうとしない可能性があるのでそう言った失敗体験をしないように手伝いましょう。

症状の一つに味覚が低下することが挙げられます。甘いものや味の濃いものを好むようになり、知らない間に他の疾患の原因を作っていることも珍しくありません。バランスの良い食事であることを納得して食べてもらうために会話しながらなど食べること自体を楽しめる工夫を心がけます。嚥下障害を伴い、むせてしまうことも多いので急いで食べさせることがないようにしましょう。

食べさせてあげるときはついつい焦りがちですが十分に時間を取ってしっかりと飲み下したのを確認してから次を勧めてあげると患者さんも食べやすいです。

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医療機関などで診断に用いられている診断テストの中で、最も一般的な認知症診断テスト『長谷川式簡易知能評価スケール』を紹介します。9つの質問に答えるだけの簡単なもので、30点満点の20点以下なら認知症の疑いが指摘されます。

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